IWASEコラム

女性ホルモンと密接な関係?デリケートゾーンのフローラバランスを整える「デーデルライン桿菌」とは

菌活、それは腸内フローラと呼ばれる腸内細菌を整えることで美しい肌や、免疫力の向上、ダイエットやデトックス、便通改善など、健康なカラダを手に入れることを指し、ヨーグルトをはじめ、様々な菌活方法が紹介されています。

腸内以外にも善玉菌と悪玉菌が戦っている場所があります。

そうです。
お口の中です。
口の中にも数百種類の口腔細菌が住み着いていて、口腔内フローラを形成しています。
この口腔内フローラの状態と、生活習慣病や心不全などの全身疾患との関わりが注目されています。

ですが、今回は口腔内フローラのお話ではありません。
口腔内フローラのお話はまた別の機会に。

腸内、口腔内以外で善玉菌と悪玉菌が戦っている場所があるのか?
ヒントはデーデルライン桿菌です。

昨今よりフェムテックやフェムケアに注目が集まっています。
おさらいになりますが、フェムケアは「女性の心身の特性に特化したヘルスケア」のことです。
フェムケアは大きな概念としてのフェムテックの一部に含まれます。

デーデルライン桿菌はそんな女性の心身の特性に強く結びついています。

デーデルライン桿菌とは?

ドイツの産婦人科医アルベルト・デーデルラインが1892年に発見したことにちなんで『デーデルライン桿菌』と呼ばれています。
デーデルライン桿菌は特定の菌につけられた名前ではなく、健康な女性の膣内に生息している細菌叢を指します。
デーデルライン桿菌はグリコーゲンをエサにし、ブドウ糖を分解し乳酸に変換することでデリケートゾーンを酸性(ph4.0~5.0)に保ち、有害な細菌の増殖を抑え、感染の予防に重要な役割をはたしています。

デーデルライン桿菌が減少し、デリケートゾーンの自浄作用がうまく働かないと侵入した病原体が増殖し、それによって炎症が起こるとかゆみやおりものの変化などの症状が現れてしまします。

このようなトラブルを防ぐためには、デリケートゾーンに十分なデーデルライン桿菌が生息している状態を保つことが重要です。

デーデルライン桿菌と女性ホルモン

デーデルライン桿菌は腟内フローラのバランスを整え、デリケートゾーンの環境を正常に保ってくれる、女性の身体に欠かせない存在です。
それだけでなく、デーデルライン桿菌は女性ホルモンとも密接に関わり合っています。

デーデルライン桿菌のエサであるグリコーゲンは、膣上皮細胞に蓄えられています。
グリコーゲンをより多く蓄えるためには、膣壁の上皮細胞を増やす必要があります。
女性ホルモンのエストロゲンには膣上皮細胞を増やし、ふかふかに保つ働きがありますが、エストロゲンの分泌量が低下するとグリコーゲンが減少するため、デーデルライン桿菌が減少してしまいます。
すると膣内環境が悪化し、膣内フローラのバランスが乱れて膣内の自浄作用が低下する恐れがあります。

また、近年着床環境としての子宮内細菌叢に注目が集まっている中で、デーデルライン桿菌が存在するほど妊娠率は高い傾向があるという発表も学会でされています。

しかし、女性ホルモンの分泌量は生理周期の変動や閉経によって変わってしまいます。
カラダの変化にできるだけ左右されることなく、デーデルライン桿菌を増やすためにはどうすればいいのでしょう?

デーデルライン桿菌を増やすためには?

デーデルライン桿菌は特定の菌につけられた名前ではなく細菌叢を指す、ということはお伝えしました。
では、この細菌叢にはどんな菌がいるのでしょうか?
代表的な菌は「ラクトバチルス・ロイテリ菌」「ラクトバチルス・ラムノーサス菌」「ラクトバチルス・アシドフィルス菌」「ラクトバチルス・プランタラム菌」「ラクトバチルス・クリスパタス菌」と言われています。
もちろん、ラクトバチルス属は腸内でもフローラを形成しています。
(一部のラクトバチルス属は再分類によって学名が変わりました。)

デーデルライン桿菌はストレスや睡眠不足、デリケートゾーンの洗いすぎ、抗生物質の使用など、些細な事が要因で減少しやすい菌群です。
ストレスや睡眠不足は女性ホルモンとも密接に関わっています。
女性ホルモンの分泌量が増えやすくなる生活を送ることが重要になります。

  • バランスの良い食生活を意識する
  • 睡眠時間を十分に確保する
  • ストレスを解消する

普段から女性ホルモンの分泌を増やす生活を続けるのが大変な方には、ラクトバチルス属の乳酸菌をサプリメントとして接種する方法も有効です。

「サプリメントで摂った乳酸菌がなぜ腟内に届くのか?」と疑問に思うかもしれません。
世界中の研究者が、どんな経路を通って腟内に到着するのか、を調べているのですがまだ明らかになっていません。
しかし、経口摂取した乳酸菌が腟内フローラを改善するということは、さまざまな研究で認められています。

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関連リンク:

・一般社団法人 日本IVF学会:
子宮頚部細胞診におけるデーデルライン桿菌の存在と臨床成績との関連性についての検討

長崎県保険医協会

・Improvement of Bacterial Vaginosis by Oral Lactobacillus Supplement:A Randomized,Double-Blinded Trial
Appl.Sci.2021,11,902.

 

この記事を書いた人

藤井 元人

ウェルネス事業部

口に入れる食品原料や製品取り扱うウェルネス事業部に所属しています。
いろいろなモノを口に入れすぎて、最近では植物エキスの苦味も美味しく感じるようになりました。

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