IWASEコラム

「UV耐水性」表記に関する受託試験

日焼け止め製品の表示として一般的な「SPF」「PA」に加え、
いよいよ2022年12月1日より、「UV耐水性★/★★」の表記が始まります。

今まで曖昧だった、ウォータープルーフ(耐水性)の定義に関して、
日本化粧品工業連合会が自主基準を設定し、新たな表記ルールを作りました。

実際にどんな試験内容なのか、その詳細をご紹介します。

UV耐水性試験とは?

化粧品製造メーカーの業界団体である、日本化粧品工業連合会が、
この度採用することにしたUV耐水性試験の方法は、
「ISO18861(2020)」という耐水性SPF値の測定方法です。

この方法では、水流を発生させた30℃のお風呂に40分間あるいは80分間水浴した前後で、
SPF値がどれだけ保持されているか、その保持率を確かめる方法です。

こちらは、元々EUにおいて、Cosmetics Europe発出のガイドライン
「GUIDELINES FOR EVALUATING SUN PRODUCT WATER RESISTANCE 」として定義されていた耐水性SPF値の測定方法が、
国際標準化機構(ISO)によって、2020年に標準化、すなわち国際的な測定法として規格化されたものです。

試験方法のご紹介

こちらの試験は、試験参加に同意頂いた人を対象として試験を実施します。

1.まず、背中に対して、測定したい試料を塗布し、紫外線を照射し、16-24時間後の紅斑を確認することで、
水浴前(通常)SPFを測定します。

2.続いて、同じ背中の新しい部位に対して試料を塗布し、水浴処理をした後に、紫外線を照射し、16-24時間後の紅斑を確認することで、水浴後SPFを測定します。

3.その後、水浴後SPF値を水浴前SPF値で割った、SPF保持率を算出し、その値が50%以上であれば(※)、
耐水性効果があると判断します。

(※)厳密には、SPF保持率平均値の90%信頼区間の下限値が50%以上

水浴時間は2種類あり、40分の試験と80分の試験が選択可能です。

実際の試験においては、試験に参加する人が水浴の途中に休憩できるように20分単位で実施しているため、
20分 × 2セットで40分試験、20分 × 4セットで80分試験となります。

製品への表記方法ルール

水浴時間40分の試験にて、耐水性効果ありと認められた場合、「UV耐水性☆」又は「UV耐水性★」

水浴時間80分の試験にて、耐水性効果ありと認められた場合、「UV耐水性☆☆」又は「UV耐水性★★」

と表記することが可能です。

本試験は、UV耐水性の測定対象として用いている値が “SPF” であるため、
表記の際は、SPF値を記載した上で、UV耐水性表記をすることが必須です。

また、表記するSPF値は、あくまでも「水浴前SPF値」となっております。
PA値については、本測定方法とは関係が無いため、必ずしもUV耐水性表記との併記の必要はありません。

すなわち、商品への表記例としては、以下のようになります。

(例1)            (例2)
SPF 50+             SPF 25
PA ++++            UV耐水性★
UV耐水性☆☆

従来の「ウォータープルーフ」との違い

従来より “ウォータープルーフ”とは、耐水性の機能を示す用語として使用されていました。

しかしながら、その意味は各社の解釈により異なるなど、明確な定義はなく、
「汗や水などに強く、落ちにくい」という意味で用いられてきました。

今回ルール化されたのは、海やプールなどを想定した、外環境からの水に対するSPFの耐水性となりますため、今後、”ウォータープルーフ” 表記の使い方には、製品ごとに注意が必要となります。

  • 日焼け止め効果(SPF値記載)をもつ製品の場合

“ウォータープルーフ” を記載するためには、こちらの試験方法に則ってエビデンスを取得し、「UV耐水性★/★★」の表現を必ず行う必要があります。

一方で、本ルールは、2年間の移行期間を設けておりますため、2022年12月1日~2024年11月30日の間に出荷される製品は、
従来通りの記載も可能となっております。

2024年12月1日以降に出荷されるSPF表示製品に関しては、「UV耐水性★」又は「UV耐水性★★」表記が無い状態での “ウォータープルーフ” 表記は認められなくなります。

  • SPF値を記載しない製品の場合

メイクアップ製品の化粧持ち性能については、本ルールの適用外となりますので、各社の責任の下でエビデンスを取得し、従来通り製品に “ウォータープルーフ” を表記することが可能です。

終わりに

受託試験を取り扱っているBIOXグループでは、
日焼け止め効果のあるSPF製品を開発される企業様向けに、通常のSPF、PA測定試験に加え、
こちらの表記に関する「UV耐水性試験」の受託試験を取り扱っております。

UV耐水性試験に関しては、国内外含め、8カ国の試験施設での委託実績があります。

各施設毎の特徴を把握してますので、お客様のニーズに合った試験施設をご紹介させて頂きます。

また、メイクアップ製品の「ウォータープルーフ」試験もご紹介します。

お気軽にお問い合わせください。

参考URL:こちら

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この記事を書いた人

立石 卓馬

東京薬粧部 BIOXグループ

化粧品・化学品・農薬等に関する安全性試験、有効性試験の窓口であるBIOXグループに所属しております。
高校時代を米国で過ごした為、英語を生かして海外試験施設とのやり取りも行っております。
最適な試験提案ができるよう、情報提供していきます!

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