IWASEコラム

安全性試験とは-人と環境へのリスクを評価

安全性試験はなんのために行われ、試験内容はどのような項目に分かれているのでしょうか。また、安全性を確実に検証するために必要な条件とはどういったものでしょうか。安全性試験について、その意味と目的、検査内容などを解説します。

安全性試験とは

安全性試験は、原料や製品が人や環境に対してどのような影響を与えるのかを検証するための試験です。主として薬品や食品、化粧品などについて実施されます。

安全性試験のうち、人や動物に対しての影響を検証する場合は毒性試験と呼ばれることもあります。毒性試験と呼ばれる場合は、生体に対して好ましくない影響を与える性質がないかに焦点をおいた試験です。動物実験、人や動物の細胞または組織を用いて試験を実施し、評価します。

総合的な安全性試験として考える場合は、このように生体に対しての毒性を検証するだけではありません。環境に対しての影響や、それを使う労働者の安全まで考慮して、あらゆる面に対してのリスク評価を行います。

安全性試験の内容

安全性試験で行われる検証内容の一例を見てみましょう。

薬品

薬品の安全性試験では次のような種別の試験が行われています。

  • 急性毒性試験(単回投与毒性試験)
  • 慢性毒性試験(反復投与毒性試験)
  • 生殖発生毒性試験
  • 遺伝毒性試験(変異原性試験)
  • がん原性試験
  • 抗原性試験
  • 局所刺激性試験

薬品の安全性試験では、あらゆるリスクの可能性を試験しなければなりません。
急性毒性試験では、動物に経口・経皮・静注・吸入などの方法で投与し、一定時間内の状態を観察、尿や血液の検査、病理組織学的検査などを行います。慢性毒性試験では、臨床試験の投与期間を考慮したうえで一定期間反復投与し、中毒症状を示す投与量を推定します。生殖発生毒性試験では、反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験や一世代繁殖毒性試験などを行い、雌雄の生殖機能への毒性を調べるのもで、交配前から交配・妊娠哺育(ほいく)期間中を通して化学物質を投与して、雌雄および児動物(胎児・出生児)への毒性を検査します。遺伝毒性試験は遺伝子に異常を起こす性質の有無について調べます。細菌を使う復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を使う染色体異常試験、げっ歯類を使う小核(しょうかく)試験などの種類があります。そのほか、投与する薬物に発がん性がないかどうかを確認すること、薬物が抗原として作用し、免疫反応に異常をきたさないかを確認すること、皮膚や粘膜など適用部位への刺激性の検討などが行われます。

医薬部外品(添加剤)

医薬部外品やそれに含まれる添加剤の安全性試験としては、次のような試験が行われています。

  • 急性毒性試験
  • 遺伝毒性試験
  • 刺激性試験
  • 感作性試験
  • パッチテスト

皮膚に触れたり口に含んだりすることのあるような医薬部外品では、パッチテストも行います。アレルギー性接触性皮膚炎や遅延型アレルギーなどの反応がないかを試験します。また、刺激性試験において、皮膚や粘膜に対する刺激性の大きさを検討します。

食品(トクホ)

食品、特に特定保健用食品(トクホ)については次のような試験を行うのが一般的です。

  • 急性毒性試験
  • 反復毒性試験
  • 遺伝毒性試験
  • ヒト試験(過剰摂取、長期摂取)

薬品や医薬部外品と同様に、トクホにおいても、過剰摂取や長期摂取によってどのような症状が現れるか、ヒト試験(臨床試験)が行われます。

化学品

化学品の安全性試験として行われるのは、次のような種類の試験です。

  • 急性毒性試験
  • 遺伝毒性試験
  • 刺激性試験
  • 感作性試験
  • 環境毒性試験

化学品については、人や動物の健康に関する安全性だけでなく、生態系や土壌・水質への影響も考慮した環境全般への評価が必要です。環境毒性試験では、環境に対しどのような影響を与えるのか試験します。

安全性試験に必要とされる条件

新規化学物質を製造販売する際には、安全性試験が必要となります。具体的にどのような手順で試験が行われるのでしょう。 例えば薬品における慢性毒性試験の場合、次のような方法で試験を行います。

  • 試験物質を長期間繰り返し投与
  • 一般状態・体重・摂餌量・尿・血液・臓器重量・病理組織などについて検査
  • ラット・ビーグル犬・カニクイザル・ミニブタなどの動物を使用

慢性毒性試験を行う場合は、上記のような試験を2年間もの長期間にわたり行います。このとき、使用動物の飼育場所が必要となるほか、心電図検査や眼科検査、聴覚検査、血液検査など、各種検査に必要な装置も必要です。

このように、安全性試験を実施するためにはさまざまな設備と条件が整っていなければなりません。
薬品の場合では、製薬企業が自社内の試験機関で実施、または試験受託企業や専門の研究所で行う場合もあります。一方で、新たに健康食品や化粧品を企画し製造販売するとき、試験に必要な場所や機材を持たない企業も多く存在します。そういった場合は試験受託企業に委託するのが一般的です。場所や機材を新規に準備するのに比べ、大きなコストをかけることなく、確実な試験が実施できるためです。

人と環境の安全を守る安全性試験

安全性試験の内容や条件について紹介しました。

安全性試験は、人と環境の安全を守るために行われています。そのためには、試験のためのクリーンルームや機材、検査装置が必要です。自社にこのような条件が整っていない場合、またはコスト・時間・人員が不足している場合などは、外部の試験受託企業に委託してみることを検討してはいかがでしょうか。

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参考

この記事を書いた人

藤井 元人

ウェルネス事業部

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