機能性表示食品を取り扱う事業者にとって、制度の根幹を揺るがす大きな変革が始まっています。
2025年、機能性表示食品制度は「ただ届出をして終わり」ではなく、「販売した後も責任を持って育てていく」時代へと完全にシフトしました。
そのカギを握るのが、新しく始まった「自己点検」のルールです。
今回は、この新しいルールについてお伝えいたします。
そもそも「自己点検」とは何をすればいいの?

一言で言えば、「年に1回、商品の健康状態をチェックして、国(消費者庁)に報告すること」です。
これまでは、発売前の届出がゴールになりがちでしたが、これからは発売後も「ルールを守って運用できていますか?」と自ら点検し、その結果をデータベース上で報告しなければなりません。
具体的にチェックするのは、主に以下の4つのポイントです。
新しい情報のチェック
届出している成分について、安全性や機能性に関する「新しい知見(特に否定的な報告)」が出ていないかを確認します。
製造現場のチェック(GMP)
サプリメント形状(天然抽出物等を原材料とする錠剤・カプセル剤等)の場合、法令で定められたGMP基準に沿って製造されているかを確認します。
健康被害情報の収集
消費者からの相談や、医師からの診断情報を収集し、必要に応じて報告する体制が整っているかを確認します。
成分の定期検査
商品に含まれる機能性関与成分が、規格通りに入っているかを定期的に分析・検査します。
これらをチェックリスト形式(様式VII)で回答し、消費者庁へ送信します。
なぜ今、この制度が義務化されたの?
きっかけは、やはりあの「紅麹」の問題でした。
誰もが安心して商品を手に取れるようにするためには、「出したまま」にするのではなく、常に最新の目で安全を見守る必要があります。
そのため、これまでガイドライン(努力目標)だった事項の多くが、「法令(食品表示基準)」へと格上げされ、義務化されました。
「やったほうがいい」から「やらなければならない」ルールへと、フェーズが変わったのです。
期限はいつ? 「うっかり」が命取りになる前に
ここが実務上、最も重要です。
自己点検の報告には、明確なデッドラインがあります。
基本ルール
届出番号をもらった日から数えて「1年以内」に最初の報告が必要です。
2回目以降
前回の報告から1年以内に行います。
2025年(令和7年)3月31日までに届出番号が付与されている既存の商品については、特例として「2026年3月31日まで(令和7年度中)」に初回の報告を済ませればOKとされています。
「まだ時間がある」と思っていると、あっという間に年度末が来てしまいます。
複数の商品を扱っている場合、ギリギリになるとデータベースの操作などでパニックになる可能性もあります。
余裕を持ってスケジュールを組むことを強くおすすめします。

もし、自己点検をやらなかったら?
期限までに報告がない場合、その商品は「機能性表示食品」としての資格を失います。
具体的には、以下の厳しい措置が待っています。
「機能性表示食品」と名乗れなくなる
パッケージに機能性を表示して販売することが法令違反(食品表示法違反)となり、回収命令や社名公表の対象になり得ます。
システムがロックされる
データベース上で、その商品に関する操作が一切できなくなります。変更届も出せなくなるため、事実上の「凍結」状態です。
消費者庁からは期限の3ヶ月前と1ヶ月前にアラートメールが届く仕組みになっていますが、担当者のメールアドレスが古いままだと届きません。まずは登録情報の確認から始めましょう。
また、最終的な提出完了の確認は届出者自身に委ねられています。
「提出ボタンを押したから大丈夫」と安心していると、万が一の不備に気づけない可能性があります。
提出後に必ず自らデータベースにログインし、提出状況を確認する必要があります。

機能性表示食品制度は、事業者に対してより重い「市販後責任」と、継続的なコンプライアンス体制の構築を求める方向へと大きく進化しました。
しかし、この「自己点検」は、商品が安全で高品質であることを、胸を張ってお客様に伝えるための最強のツールでもあります。
「売りっぱなしにしない誠実なブランド」として、この変化をチャンスに変えていきましょう。
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いろいろなモノを口に入れすぎて、最近では植物エキスの苦味も美味しく感じるようになりました。