新しい天然由来乳化剤「PemuPur™ VISTA polymer」の可能性

近年、消費者の間で天然由来のパーソナルケア製品への関心がますます高まっています。
Lubrizol社の調査では、とくにスキンケアにおいて、天然成分を含む製品が重要だと回答した消費者が32%にのぼり、天然成分をクリーンビューティーと結び付けて考える人も50%に達していると分かりました。このような背景から、キサンタンガムのような天然系ポリマーの需要が増加しています。こうした市場のトレンドに応える形で登場したのが、CITE JAPAN 2025の新原料のひとつである「PemuPur™ VISTA polymer」です。

PemuPur™ VISTA polymer とは？

PemuPur™ VISTA polymerは、天然由来の高分子乳化剤です。少し変わった構造により、優れた安定性と持続性を兼ね備えています。表示名称は、ウンデシレノイルキサンタンガムで、ISO 16128に準拠した自然由来指数は97%、易生分解性を有しており、サステナビリティの観点からも注目される成分です。
このポリマーは、多糖類骨格と疎水性修飾基を持つという特徴的な構造をしており、これにより水相の粘度を上げるだけでなく、界面活性による一次乳化と長期安定性をもたらします。

主な特徴と利点

PemuPur™ VISTA polymerの最大の強みの一つは、少ない配合量で高い性能を発揮する点です。推奨配合量は、スキンケア・サンケアで0.5–1.5 wt%、メイクアップで0.5–1.0 wt%、身体洗浄で0.1–0.5 wt%と低く設定されています。少ない配合量でも、優れた乳化安定性を示し、例えば、0.7%の濃度で様々なオイルを含むエマルションの安定化に貢献します。
この原料は、幅広いpH範囲（pH 3.5～pH 8まで）に対応しており、様々な処方への応用が可能です。また、低極性～中極性まで幅広いオイルとの相溶性が良好であり、有機および無機UVフィルターとの互換性も示しています。電解質の存在下でも、共乳化剤（中～高HLBの非イオン性またはアニオン性乳化剤が推奨されます）を併用することで性能が向上することが示されています。
PemuPur™ VISTA polymerは、軽い感触、柔らかさ、べたつきのなさといった優れた感触も持っています。アクリレート系ポリマーと同様の使い心地が期待でき、キサンタンガムやデュータンガムに比べて糸曳きが少ないという利点もあります。
さらに、製造プロセスにおいても利点があります。コールドプロセスに対応しており、時間とエネルギーの節約につながります。また、剪断による粘度低下が少ないため、ホモジナイザーによる乳化処理など、高剪断が必要な工程でも安定した性能を発揮します。エタノールとの適合性も良好で、最大20%までのエタノール配合が可能です。

用途別のメリットと応用例

PemuPur™ VISTA polymerは、スキンケア、サンケア、メイクアップ、洗浄系といった幅広い製品に使用可能です。

•スキンケア/サンケア: 幅広い種類のオイルやUVフィルターとの互換性により、美容液からローションまで様々なテクスチャーの乳化安定剤として使用できます。他のレオロジー調整剤（例えば、Carbopol®BioSense polymer、Kelco-Care diutan gumなど）と組み合わせることで、多様なテクスチャーを実現できます。

•メイクアップ: 顔料との相溶性が良好で、顔料含有処方における優れた増粘性と安定性を提供します。これにより、乳化剤の配合量を削減できる可能性があり、肌への刺激低減、使用感の向上、環境負荷低減につながります。リキッドファンデーションやティント製品、アイシャドウなど、様々なメイクアップ製品に応用が可能です。

•洗浄系: サルフェート系およびサルフェートフリー系システムの両方に適しています。他の増粘成分との相乗効果で粘度を向上させ、優れたサスペンション性向上効果と豊かな泡立ちを実現します。

information：

サステナブルな選択：天然由来ポリマーによる処方革新

PemuPur™ VISTA polymerは、天然由来でありながら、従来の合成ポリマーに匹敵、あるいはそれ以上の優れた乳化安定性、増粘性、センサリー特性をもつ新規原料です。少ない配合量で多様な処方に対応し、コールドプロセスや剪断安定性といった製造面での利便性も兼ね備えています。消費者からの天然由来製品への需要が高まる中で、PemuPur™ VISTA polymerは、サステナビリティとハイパフォーマンスを両立できる原料となっております。