美容に興味のある女性が顧客の中心を占める化粧品製造業では、「現行の市場シェアを活用して健康食品の新規ビジネスをはじめたい」という会社も多いようです。
市場がリンクしているといっても、化粧品業界と食品業界では全く分野が違います。
興味はあるものの二の足をふんでいる企業もいるのではないでしょうか。今回は、気になる健康食品の動向や、健康食品の新規ビジネスをはじめる手順、OEMを活用した場合のメリットを見てみましょう。
健康食品業界の今
健康産業新聞の調査によると、2017年における健康食品市場規模は前年と比べて1.9%増の1兆2,272億円で、調査開始以降3番目に高い水準を記録しました。ビタミン・ミネラルなどのベースサプリや、青汁、乳酸菌などの定番の健康食品が安定的な市場シェアを確保し、ドラッグストアのインバウンド需要や、「アマゾンに代表されるネット通販の隆盛が市場拡大に貢献」したようです。
アマゾンの「健康食品」売れ筋ランキングを見てみると、野菜摂取用のサプリメント、天然の食物繊維、ダイエットサプリメント、お菓子のサプリメントなどが上位を占めています。ブロックタイプのカロリー摂取スナックのような定番ものから栄養補給できるチョコ味のようかんまで、新旧さまざまな製品が人気を集めていることがわかります。
健康食品のメインユーザーは、60代、70代のシニア世代が中心で、近年は働く女性も市場をけん引しているようです。その背景には男性の雇用者数が1997年をピークに減少する一方、女性の雇用者数は増加傾向にあることが考えられます。女性は男性よりも消費意欲が高いことに加え、所得を消費にまわせる女性が増えたことが、働く女性の健康食品ユーザーが増加している要因のようです。
ある乳酸菌ドリンク飲料の事例があります。当初はシニア層向けに発売したヨーグルト商品でしたが、商品ラインにドリンクタイプも加え、ターゲットを「働く女性」にしたところ、年間出荷量が前年比50%増えたそうです。
今後、人口減少によりさまざまな分野の製品動向が懸念されるなか、高齢化社会や女性が働く社会の実現がますます進むことにより、さらなる需要を確保できる見通しといえるでしょう。
健康食品業界に参入するためには
それでは、好況な健康食品業界に参入するためにはどうすればよいのでしょうか。
「思いきって新規参入したけれど、失敗した」とならないように、主なポイントを事前確認しておきましょう。
商品の企画
まず、インターネットの情報や売れ筋の健康食品から健康食品業界の市場ニーズを調査します。調査結果をもとにして企業コンセプトや自社が持つ資源とマッチングする商品を企画します。
次に、フローに沿って具体的な商品案から販売案まで落としこみましょう。
- SWOT・PEST分析など内部・外部環境分析の実施
- 分析結果をもとにターゲットを決定(より具体的に設定する)
- どんな価値を提供するか
- どのように提供するか
- 予算案と収益計画の策定
規制の確認
人の口に入る商品を提供する健康食品業界に参入するには、複数の厳しい法律規制を押さえておく必要があります。
例えば、
- 食品衛生法
- 食品表示法
- 健康増進法
- 医薬品医療機器等法
- 景品表示法
- 特定商取引法
などの法律により製造から表示事項・禁止事項までが定められています。「せっかくよい商品を立案したのに、法律上商品化が不可能だった」ということがないよう、専門家とも相談しながら商品化を進めてください。
製造工場の決定・工場で新製品製造を導入
商品案が確定したら、商品を製造する工場を決定しましょう。自社の工場で製造できる内容なのか、他社に製造を委託する必要があるのかなど、予算とも相談しながら検討します。自社で製造する場合は、製造マニュアルの策定など、ラインで効率的かつ安全に新商品を製造できるように体制を整える必要があります。
各種安全性と有効性試験の実施
健康食品としてアピールする作用の有効性と、食品としての安全性試験を実施しましょう。
健康食品製造のためにOEMを活用するメリット
健康食品業界に参入するための主要なポイントを見てきました。健康食品業界の市場把握や、特有の法律、各種安全性の確認など、自社だけでは難しいと感じられるかもしれません。その場合におすすめする参入方法が、OEMです。健康食品製造にOEMを利用することで、下記のメリットがあります。
- OEM先が健康食品業界に精通した会社である場合は、企画のために有益な情報を得られる
- 自社工場の制約にしばられない製品づくりができる
- 新製品製造から試験までの導入の手間を省ける
- 複雑な規制への対応に有利
- 「機能性表示食品」や「特定保健用食品(トクホ)」取得のために有利
OEM先候補を選定するポイントは、健康食品業界に精通しておりノウハウをしっかり持った会社を選ぶことです。また、複数の工場で製造することができるなど、BCP(事業継続計画)の観点から持続的に製造ができる体制を持った会社かどうかを確認することも重要です。
ぜひ、自社の魅力を引き出してくれるパートナーを見つけ、協力して好況な健康食品業界で新規ビジネスを成功させましょう。
いろいろなモノを口に入れすぎて、最近では植物エキスの苦味も美味しく感じるようになりました。