IWASEコラム

抗酸化性能を備えた無機粉体の開発とその有用性

機能性粉体ヒドロキシアパタイトの更なる可能性

化粧品は、常に自動酸化の危険にさらされており、
長期間の安定性を保つためには、酸化防止剤を効果的に配合することが必要です。

化粧品に汎用されている有機酸化防止剤は、油溶性のビタミンEやBHT、
水溶性のビタミンC、植物抽出エキス等が挙げられますが、
これらは、自らが分解することにより抗酸化性能を発揮しているため
分解限度を超えると、抗酸化性能が落ちる傾向にあります。

さらに、紫外線や熱等の外的因子の影響を受けることで、
より分解速度が上がり、持続的な抗酸化効果が得られない問題があります。

そこで我々は、自らが分解することなく、
外的因子の影響を受ける可能性の低い無機粉体「AO-HAP」に着目しました。

無機粉体の中でも、皮脂吸着性や光拡散効果等が確認されており
機能性粉体であるヒドロキシアパタイト(HAP)を特定条件で焼成することで、
安定的に持続性のある抗酸化性能を付与することに成功しました。

ダン鉄法による脂質ペルオキシルラジカル消去活性について

この抗酸化性能を保持するHAP(AO-HAP)は、
化粧品に汎用されている有機酸化防止剤と比較して、
経時的に抗酸化活性が持続可能であることを確認できました。

化粧品への応用については、プレストファンデーションへ配合することで
製剤自体が高い抗酸化活性を示すこと、
さらに洗顔フォームの酸化による臭い立ちや
着色を抑制する効果も確認することができました。

洗顔フォームの臭い立ち抑制試験(n=19)

このことから、AO-HAPは、水溶性でも油溶性でも無い無機粉体であること、
また、従来の抗酸化剤と比較して経時的な持続力があることから、
全く新しい抗酸化剤として、今後の化粧品処方において
有力な選択肢の一つとなることを期待しております。

IFSCC Congress 2020 Yokohama

2020年10月21日~10月30日に開催された
IFSCC Congress 2020 Yokohamaですが
日本での開催は、2006年の大阪大会以来であり
新型コロナウイルス感染拡大の影響で初のオンライン開催となりました。
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この記事を書いた人

元木 隆志

研究開発部

みなさま、こんにちは。
研究開発部、薬粧部を経てプロモーショングループで業務しておりましたが
7月1日より研究開発部に戻って手を動かしております。
最近、中国語を勉強し始めました。
好きな食べ物:「讃岐うどん」 好きな香粧品アイテム:「パウダーファンデーション」
みなさまのお力添えできれば幸いです。

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